落語葬
坊さんのやる葬式はいやだ。
死は泣くことではない。
笑って消える。
そんな遺言通り行われた落語葬。
お坊さんの姿はない。
親族の挨拶の後、いきなり始まる落語会。
祭壇を背にして、落語をこよなく愛していた故人の棺を前に。
横には、華やかにペイントされた棺桶の蓋が。
「地獄八景」で故人のあの世を楽しむ姿を描いた。
閻魔の庁では、先代閻魔の一千回忌の為、変わった葬儀で送られて来た者を極楽へ通すという。
まさに、今この時の模様を閻魔様に語る。
「おもしろい!良い葬式をしてきたのぉ」と言って極楽へ通してもらう。
我ながら、いい脚本になったと思う。
奇想天外のお葬式だが、絶えず笑いがあり、故人はさぞ喜んでらっしゃっただろう。
これには、親族の堅い絆を感じる。
「ふざけてる!」と、誰か反対すれば成り立たない。
いかに故人が親族に愛されていたかもよくわかる。
親族が“笑“の文字を入れた寄書きの棺桶は見事だった。
自分の人生の幕引きをキチッとなさった故人も素晴らしい。
いい経験をさせていただきました。
合掌
2019/10/19